[コメント] デイ・アフター・トゥモロー(2004/米)
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言いたいことはよく分かる。「今のままでは地球がダメになる」ということを訴えたかったんだね。「我々ひとりひとりが考えなきゃいけないんだ」ってこともね。でも、その思いが強すぎるあまりに、ディテールにまで目が届かなかったんだな。物理学を無視してしまうほどに…。
ま、その製作意図に免じて★3をやるよ。でも、もし実は「単にアメリカを凍らせてみたかった」ていうのが本当のとこなら容赦なく減点ね。「冷たいね」なんて言うなよ! この映画自体寒いんだからな。
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以下ちょっと真面目な考察:
熱量保存の法則に従えば、太陽のエネルギーが変化しない限り(もしくは何らかの理由によって大気圏外に放出される熱エネルギーが増大しない限り)、地球表面の総熱量は変化しないはずである。よって、高緯度地域が氷河期化する分(つまり寒くなるのと同じだけ)、低緯度地域の気温が上昇しなくてはならない。「北(南も)のほうは氷に閉ざされてしまったけど、その分赤道周辺が涼しくなったから大丈夫」ではなく、「極は寒くて住めなくなった上に赤道はもっと暑くなった」ということになる。
熱帯地域がさらに暑くなれば、台風は今よりさらに増え、また巨大化するはずである。乾燥した地域ではさらに砂漠化が進行するだろう。この映画のラストの時点でどれだけの人間が生存しているか分からないが、それでもその生き残りを食べさせるに足る耕地面積が果たして確保できるかどうか、疑問である。
つまり、雪と氷から逃げることができた人類の未来は、決して明るくはないのだ。凍結したニューヨークで、図書館にいたサムたち以外の生存者が他のビルからも続々発見されるように、この映画は「その後」について微かな希望を抱かせるように作られているが、それはこの期に及んで少し見通しが甘いように思う。だいたい、このままでは人類の将来が危ういからこの映画を作ったんだろ?監督。
ま、上のような考察自体「熱平衡の原理に反する」と突っ込まれたらそれまでなのだけど。
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