[コメント] あなたにも書ける恋愛小説(2003/米)
ソフィスティケイトされたものもファルスもなくロマンスさえ低空飛行なBADムービー
監督・ロブ・ライナーで運びに職人的な仕事はまま見られたものの、仕上がりにおいてはウィットの片鱗もチャーミングな表情も見せることなくあまりに陳腐な出来となってしまった。大概のラブコメ然りのご都合主義はまだ許せても、それを妥当と思わせる創り手の工夫というものがどこにも見当たらないのは演出の限界であろう。やはり評価の分かれ目は主演二人の人物描写につきる。ケイト・ハドソンもルーク・ウィルソンも決して不味い演技ではないと思うがいかんせんアピール力がまだまだ足りない。しかし何より戦犯的なのは二人の存在からファンタジーを抽出することができなかったプロダクションワークの拙劣さにある。ラブコメにおいてこの点の足りなさは致命的だ。ラブコメの肝とは、多少の逸脱を孕みながらもそこはユーモアで妥当性を得るプロットにエスプリの利いたテリングテクニックと、そのストーリーの波に登場人物を上手くライディングさせる適正な演出による施しの妙である。そうした肝の据わった芯があってこそ映画のマジックにファンタジーは飛翔するのだ。残念ながら本作は踏み台とされるべきBADサンプルといえる。端役にしても出演している場合ではないのだ。
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