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[コメント] 午後の五時(2003/イラン=仏)

強い女の顔はどこか似ている。アフガンの杉村春子、自由を求めて立つ。
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







表題にも引用されたガルシア・ロルカの詩の内容を事前に調べて置かなかったので、終盤の展開、全ての者が逃れられない死へと向かう、が酷く意外に残酷なものに感じられた。

主人子ノクレとフランス人兵士と、それを取り持つ詩人との大統領についての会話のシーンが、なんとも云えない、おだやかな幸福感に満ち溢れていたものだから、映画の帰結にも同じようなものを期待してしまったのだろう。

しかしそれは甘過ぎた。アフガンの現状に照らし合わせてみれば、俺が期待した帰結など、確かに平和ボケ以外の何物でもない。モフセン親父の『カンダハール』にしても、この『午後の五時』も、云わんとしていることは同じだ。

また『りんご』とこれを観て気付いたのだが、サミラの映画には、「教育」に対する熱意の他に、初々しい青春の香りが充ち溢れている。『りんご』に於ける公園の並木道?のシーンと、この映画の自転車の二人乗りのシーンにそれは代表される。この素直さ、若々しさが、シニカルなモフセン親父と最も異なることころだろう。

技術的には、ロングショットの画一的であるのを観ただけでも、余り巧いとはいえない、むしろヘタクソだというのが判る。足元を写す重要なショットも決定的に力不足だ。しかし、それを補って余りある、青いブルカと傘の美しさ、前述のフランス兵と宮殿のシーン、砂漠でのストイックな演出。4点は甘いかも知れないが、(この映画に対する)初コメントということで。

(評価:★4)

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