[コメント] DOG STAR MAN(1961/米)
映画を「視る」ことを欲する者、映画について思考を巡らせたい者にとってはいまだにいくばくかの価値を持った作品だろう。
次々と奔出する刺激的なイメージ群と静寂に包まれた上映空間によって、視覚と聴覚が研ぎ澄まされてゆく感覚を覚えることができる。それは現在においては掛値なしに貴重な体験であり、だからまったく物語が判然しなくとも私は一向に構わない。そもそもブラッケージも観客が正確に物語を汲み取ることを期待してはいないだろう。しかし、その割には画面に意味が込められ過ぎており、入念に構築された物語の存在を匂わせるような作りになっているのが厭らしい、とも云える。
ブラッケージ作品の中でならば、私は『The Dante Quartet』や『自分自身の眼で見る行為』のほうが好み。前者にはダイレクトに精神に響く快感があるし、後者には「視ること」に関する思索に基づく緊張感がある。
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