[コメント] フィラデルフィア(1993/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
あの頃(レンタルで観たはずだ) は、主演の二人と バンデラス の印象は
あれど、まさか こんな豪華なキャストだったとは いまさら驚いた。
(ロジャー・コーマン って!!!)
主題歌も久しぶりだったが、さすがボスだね。
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さて本題。
始まって30分のうちに、ミラー弁護士には新しく産まれてきた子供が息づき
ベケットには確実に死が (※ この当時は 発症してしまえば 望みは薄かった)
歩み寄っていくという対比がある。
そしてデンゼル・ワシントンの口を借りて述懐されているが、エイズという病気や、
同性愛者で感染に至った人々への偏見や好奇は ほとんど誰もが持ってしまっている
モノであるという現実。
実は “被告” ⇔ “原告” と対立するはずの両者や裁判長・陪審員においても、
「映画的に判りやすい敵・味方 善悪」 という以上の対立を明確には描かずに、
社長側の人々だけが 悪者なのではなく、 我々ほとんどの人間が 内側に持っている
感情や常識の 一部分である と理解できる構成になっている。
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そして、個人的に辛いシーンがやってくる。
パーティの後、陳述の練習のために残ったミラーの前で、「祈り」 について問う
あのシーン。 私は、あそこで 彼を置いて 家に帰るコトの出来ない人間だ。
ほんとうに辛いシーンで、印象に残った。
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そして、私が 『この映画を再見してほんとうに良かった』 と思った理由。
それは、15年前には判らなかった(記憶には トム・ハンクスの演技・ゲイや
AIDSへの偏見について 主題歌 くらいしか無かったと思う) 作品の底流に流れて
いるであろうところの 『生きることを謳歌できるか そしてその為に 闘えるか』
という物語に気づけたコトである。
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ベケットは闘った。 (最後にミゲールのセリフで言っちゃてましたが)
愛する家族や友人のために。
愛する元の同僚達が 過ちを改められるように。
愛するフィラデルフィアが公平な街であり続けるように。
そして最後に、その闘いが 止まり 彼が逝ってしまった後の風景になってようやく
私の目頭に熱いものがこみ上げた、そんな作品だった。
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その闘いを、ある意味 リアルに 残酷に捉えたジョナサン・デミは、やはり
凄い監督であり、凄い映像だった。
2010.8.4 鑑賞
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