[コメント] ヤング・フランケンシュタイン(1975/米)
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名作をパロディ化して映画にするのはよく行われるが、大概碌でもない内容になる。格好や枠組みだけを引っ張ってきて、肝心の内容に愛情が感じられないことが多いから。それに、たとえ監督がオリジナルの映画に愛情をたっぷり持っていたとしても、大体はそれが伝わってこない。せいぜいが「質の悪いパロディ」でしかない。
正直、本作を観るまではパロディ映画というものにかなりの偏見を持っていたのかも知れない。と思わせられてしまった。これはとにかく面白く、馬鹿笑いできる一方、並々ならぬ製作者の愛情をも感じることが出来た。たとえオリジナルの『フランケンシュタイン』(1931)及び『フランケンシュタインの花嫁』(1935)、それに『フランケンシュタインの復活』1939)(ユニヴァーサルの“正統的”フランケンシュタイン映画の3作目。片腕の警官や助手としてイゴール(ベラ=ルゴシ)が初登場する。興行的には失敗し、ビデオも見つからず)を知らなくても、充分に楽しめるが、やはりそれらをあらかじめ観ておくとその笑いもとても深みのあるものとなる。
オリジナルの雰囲気に近づけようと白黒映画にしたようだが、撮影技術は格段に向上しているので、見栄えは充分すぎるほど。それにエキセントリックでややマッドの入ったフロンコンステインとか、義手の警察署長とか、魅力溢れるキャラクターの描写も良い。何と言っても白眉はアイゴールの存在感。何をしてるわけではなく、そこにいるだけで何故か笑えてしまう見事な演技を披露しているし、その行動ことごとくが爆笑を誘う(本人が鏡に映った自分の姿に驚くシーンまであり)。そしてこれもわざとだろうが、いかにも昔の作品ですよ。と主張しているようなキャラ全員のオーバー・アクションもはまっている…ちょっと残念だったのは肝心のモンスター役が冴えないオッサンだったことくらいか(いや、これはこれで味はあるんだけど)
よほど『フランケンシュタイン』が好きで、丁寧に見直してるな。と思わせる演出の数々も良し。怪物の誕生シーンとか、老人との交流のシーンとか、沼地での少女との邂逅とか、オリジナルでは哀しみを誘われるはずの演出がことごとく質の高い笑いへと昇華している。ラストの“花嫁”の真似にも爆笑。いやあ、ポイント高い。
ラスト、フロンコンステインが怪物を真人間に戻そうとするため能力の一部を交換するが、あんな能力交換が出来るんだったら、私もあやかりたいくらい…「♪つーいに見つけたこの世の喜び〜」。なんて歌わせてみたい…下品?(笑)
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