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[コメント] 華氏911(2004/米)

マイケル・ムーアの信条や主張がどうのこうのとは関係なしに、その映画的努力については素直に評価しちゃう!
G31

 さまざまな意見や主張がごちゃ混ぜになって、そのまま突っ込まれていた感のある前作。斬新な視点の提示がいくつもあるかと思えば、明らかに愚鈍な主張も混じっていたりした。また頻繁に登場したマイケル・ムーア本人の”見た目”がいかにも愚鈍のイメージにぴったり(=しまりのないデブ)で、よりその印象を補完した。と同時に、底辺にはアメリカ人特有の陽気さが流れていて、いかにも典型的なアメリカ人の作ったフィルムだな、という感じだった。

 今作は、前作と比べてはるかに出来がいい。いろいろなエピソードや提示される視点が、きちんと一つの主張に収斂していく。その意図は、ブッシュの大統領としての正当性に疑問を投げかけるというものだが、意図が何であれ、見事な収斂を目にするのはさすがに気持ちいい。マイケル・ムーアの巨体は相変わらずだったが、前作のように頻繁に登場して主張の明敏さを妨げるようなこともなかった。

 ただ逆に言うと、これは(ドキュメンタリーと言うよりは)マイケル・ムーアの個人的な信条に基づく政治的プロパガンダだ、と思われてしまうのはいたしかたないだろう。全編が青白い怒りの炎に包まれていて、率直に言って、アメリカは相当やばいところまで来てるんだな、という印象を受けた。また実際そのとおりなんだろうと考える。

 しかし、もしこれでも民主党が再び負けるようなことがあったとして、間違ってもマイケル・ムーアだけは、ダイエットに走ったりしないでほしい。

80/100(04/09/06見)

(評価:★4)

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