[コメント] スチームボーイ(2004/日)
もしかしたらこの映画の一番の問題は、アニメだと言うことかも。「評価」を誰がするのか、どんなスタンスでこの映画を眺めるのか。普通の「ハリウッドスタイル」の脚本・演出・映像を持った、良くできた冒険活劇映画でした。
最近のジャパニメーションやそれを原作とする映画群の「評価」が、かなり「ずれている」と感じるのは、私だけでしょうか? アニオタにとってのアニメや漫画の世界観そのものが内包している、現実との遊離性・死生観の未塾性・対人意識の希薄性、それらからくる相手の心理を洞察する想像力の欠如、傷つくことに対する必要以上の警戒心、さらには潔癖性や頑迷さ、時は他に対する拒否反応すら引き起こす幼児性。そこから生まれる、そこでしか通用しない「記号」の数々で紡ぎあわされているのが、彼らの愛するアニメの世界であり、一種の「ちょんまげ」が生えているかのような、特異なルールの上に構築された特殊な価値観。
この映画も、その他もその評価軸で観察され評価されてしまう以上、「ルール上」にある作品は高く評価され、そうでないものは批判されてしまう。おまけに、当人はそのことに気づいていない。
そもそもアニメである以上、ある世代から上はどんなに良くても一段低く評価するのが常であり、アニメらしくないアニメではアニオタからも低く評価されてしまう。また、アニオタでもなければわざわざ映画館にアニメを見に出かけないので、結局、この手の映画は、正当に評価されることなく、忘れられてしまう。
結局のところ、「アニメでしかできないこと」は、「2次元性」「非現実性」の他に、「スケール性」と言う視点もあることを知らせた、「普通」の「ハリウッド映画」と言うことで良いのではないかと思います。
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