[コメント] 芙蓉鎮(1987/中国)
秦書田(チアン・ウェン)を見れば分かるが、主義は個人レベルで堅持されるときにこそ有効である。資本主義であれ共産主義であれ体制として主義が行使されるとき、それに最も翻弄されるのは主義をもたない個人なのだ。
ときに50年代ハリウッド映画のように、ときに今井正監督の反体制映画のように丁寧に展開される語り口にはオリジナリティこそ感じないが、シェ・チン監督の真摯さは充分に伝わってくる。
それにしても、87年という映画製作時点でさえ、発狂者の口を借りてしか「もっと政治運動を!」という言葉を発しえないという事実に、中国社会の見えざる圧力と息苦しさを感じる。屈折したラストシーンだ。
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