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[コメント] 黒い神と白い悪魔(1964/ブラジル)

劇中、歌唱によるプロットの説明というか、プロットの情感を補完するような歌唱の使われ方がある。『OK牧場の決斗』みたいな。ファーストカットは死んだ牛の頭部のショット。ハエが目の周りにたかる。
ゑぎ

 主人公は牛飼いのマヌエル。雇い主と口論になり(彼をだましていたのか)、殺してしまう、というのが事の発端。報復でマヌエルの母親が殺され、彼と妻のローザは逃亡の旅に出る。

 マヌエルらは山の上の聖堂にいるセバスチャンという聖人が率いる集団に加わるが、彼らを敵視する地元民に雇われたのが、アントニオ・ダス・モルテスだ。矢張りこの男の存在感は、その登場から段違いだと感じさせる。

 仔細は割愛するが、マヌエルとローザは、次に反政府勢力のカンガセイロに加わる。こゝで登場するリーダのコリスコも実に面白いキャラクターだ。おでこのところに銀貨を5枚ぶら下げているルックス。コリスコの妻ダダも魅力的だ。そして彼らの前に、またも、アントニオ・ダス・モルテスが現れ、対峙するという展開になる。

 アントニオ・ダス・モルテスとコリスコとの対決は、最初、凄いロングで見せて良い画面造型だが、しかし、ライフルのアントニオに対してコリスコはナイフなのだから、アントニオの圧勝は自明なアクションシーンなのだ。ただし、逃げるマヌエルとローザのショットは延々と横移動で見せ、ローザが倒れたのに、マヌエルは一人荒野を走る、というのが良いところだろう。このラストシーンは鮮烈だ。全編ズームも多用するが、あまり嫌らしくない使い方であるところもいい。後半の独白劇の部分の画の動きの無さが惜しい。

(評価:★3)

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