[コメント] マインド・ゲーム(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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一瞬たりとも緩みのないユルさ、とでも言うんでしょうか。気合いを入れつつ適当に描かれたようなキャラクターたちの造形と動き、そしてその変化は非常に魅力的で、眼前に広がる色の洪水には否が応にも気分を高揚させられます。馴染み深い芸人さんたちの声も非常に耳当たりが良く、時に笑いながら、時に手に汗握りながらスルスルと物語に引き込まれていく。その疾走感は物語が単純である故に速度を増し、逆に物語の単純さを補って余りあるまでに到達します。動きと色とスピード、そのアニメーションでしか為し得ない表現は、アニメ好きではない人々にも充分届くだけの力を持っている。クライマックスの海中疾走はそれだけの迫力があったと思いますし、確かに実写ではこれはできない。
ただそれだけに勿体なく思ったことが一つ。主人公西(今田耕司)に、直接的にテーマを語らせ過ぎなんです。「真っ直ぐに」「自由に」「思う通りに」なんてセリフが、これでもかこれでもかと何度も何度も、それもその度に長ゼリフで出てくる。一緒にそこまで走ってきた僕は、その都度ハッと立ち止まることを余儀なくされるんです。スピードが上がって上がって急ブレーキ。また走って走って急ブレーキ。
そもそもこれだけの技量があれば、本当はテーマ説明のセリフなんて無くていいと思うんですよね。生きる、生きる、生きる、帰る、帰る、帰る。それだけで突っ走れば、観客は自ずからそのテーマを感じ取れると思うんです。少なくともこの作品にはそれだけの力がある。走って走ってクジラから飛び出し、そこに未来の無限の可能性が見える。今作がそんなアニメーションでしかできない手法で“生”を観せてくれている以上、そこで敢えて言語という方法に頼る必要はないんです。確かに物語の主旨はこの上なく判りやすくなったとは思いますが、そこで犠牲になった速度もまた大きいです。蛇足というか何というか、届いていただけに勿体ない。
まぁ結果としてはその速度に比例するだけの恍惚を得られなかったってことになるんですが、それでも充分面白い作品ではあり、また次回作にも期待してしまっているので、ちょっと甘めに☆4とさせていただきました。
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