[コメント] ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海(2002/独)
形象と色彩の過剰、それらの織り成す綾。つまりは美。
正直に言って、この映像作品が凡百の環境映像等とどれだけの差があるものなのかは判然としないのだが、監督のレニ・リーフェンシュタールが何をそのキャメラに収めたかったのかは全く判然としている。それは形象と色彩の過剰、それらの織り成す綾だ。そのことは、とくに局部へと注目したアップカットが極端に多いことからも判然としていると思う。それらは群生する生き物達の姿であるというよりは、重力から解放された自由な形象と光線に照射された鮮烈な色彩そのものであると言ってよい。そこでは形象と色彩こそが、美そのものとして輝いているのであるから、それはそれで構わないのだろう。ただ、それはやはり凡百の環境映像等とどれだけの差があるものなのかは判然とせず、言ってみれば異世界にトリップさせられてしまうほどの幻惑的な次元にまでは昇華されていなかったことが、弱みと言えば弱みかもしれない。
ともあれ、この映像作品は、海中に広がる美の世界をひたすらにキャメラに収めた続けた作品である。そこで一つ気になったことは、そこに海中を散策するダイバーであるレニ自身の姿が中途半端に映りこんでいたこと。それもまた、この映像作品が、異世界にトリップさせられてしまうほどの幻惑的な次元にまでは昇華されなかった一つの原因になっていると思う。レニ自身が姿を見せたのは、あるいは往年の女優根性(ナルシシズム)の発露だったのだろうか。それとも、これが自分の作品であるという刻印のつもりだったのだろうか。
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