[コメント] まごころ(1939/日)
『まごころ』をめぐって人は悦ちゃん派と加藤照子派に分かれては仁義なき抗争を繰り広げる宿命にあるが、ここに私は断然加藤派であることを表明する。彼女自身の可愛らしさというか健気さというかもむろんだが、成瀬の演出の繊細さの多くも加藤に向けて費やされている。
立つ・歩く・走る・坐る・横になる、といった身体の操作に対する絶妙なディレクションを味わうことができる。とりわけ「坐る」「横になる」仕方のヴァリエイションの豊かさときたら。うつ伏せの状態から上半身をひねりながら起こしつつ、団扇で顔を半分隠して母の入江たか子を見やる加藤。無垢を絵に描いたような加藤の瞳はときに入江をすら圧するほどだ。加藤と祖母の藤間房子のダイアローグも抜群に可笑しい。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。