[コメント] IZO(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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幕末に処刑された剣客が現代に蘇えり、時空を超えて老若男女構わず殺しまくる姿を描いたバイオレンスアクション。
構成的には『キル・ビルVol.1』+『ウェイキング・ライフ』という感じでインディペント映画にある芸術的要素と娯楽映画のアクション要素を合わせたかなり実験的な作品となっている。
主人公岡田以蔵の老若男女構わず刀で殺していく姿はある種『セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ』でスティーブン・ドーフが演じたセシルのキャラとだぶる。正直、この映画のポイントは刺客を次々と倒していく以蔵のキャラを素直に受け入れられるがどうか。
個人的には以蔵の怨念と人斬りを生きがいとするキャラは少々一貫性に欠ける印象で、この映画での以蔵は最初は子供を殺していなかったのに、後半では子供も容赦なく殺していて、段々極悪非道になっていく感じなのでストーリーが進むごとに感情移入しにくくなっているように思う。最初から残忍なキャラなのならまだ納得できるが、中途半端に悪人でかといって善人というわけでもない以蔵にはあまり人間的な魅力が感じられない。この点はまだ『キル・ビル』のザ・ブライドの方が少しは魅力が感じられる。
またシナリオ自体も以蔵に刺客が襲いかかり以蔵が刺客を倒したら別の世界に以蔵がワープするという展開なのだが最初から最後までその繰り返しなので観てて疲れてくる。話にほとんど進展がなく、ただただ以蔵の暴れっぷりをだらだら描いているだけなのでストーリー展開はないに等しい。1時間半の上映時間でこれぐらいの内容ならまだ耐えられるが、後30分この展開が続くのはさすがに辛かった。
ストーリーに期待できないとなるとアクションシーンに期待してしまうわけだが、全てのバトルを毎回違った趣向を凝らして観客を飽きさせないようにしている努力は買えるが、どの刺客も以蔵にあっさりやられてしまうのはあっけなさすぎで芸がない。それも敵は簡単に殺されるのに、以蔵は銃や刀でダメージをくらっても無敵というのは都合がよすぎ。しかもどのバトルも皆同じ展開ではさすがに飽きてくる。
ストーリー展開も冗長で退屈な上に、シナリオもアクションシーンも皆同じ演出では映画としての評価に値しない。唯一ほめられる点があるとすればビートたけしや片岡鶴太郎といった豪華出演者たちが次々と以蔵の斬られ役として出演しているところぐらいか。
何となくステージが違えど同じ戦い方をしてるTVゲームを観ているような印象で、結局この映画は娯楽映画としての基準で観ても、インディペンデント映画としての基準で観ても、あまりにお粗末で観るに堪えない作品となってしまった。
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