[コメント] ヴィレッジ(2004/米)
寓意に富んだ映画。だがそれについて考えてたら、怖がるヒマがなくなった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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”鎖国政策”で楽園を築こうという国家モデルだ。ある程度まではうまくいくと思う。外の世界と同じ程度までは。同じ人間がやってることなんだから。ただ、歴史を知る人間なら、これを維持するには莫大な社会コストがかかることを知っている。もし社会がこの負担に耐えられるなら、日本は今でも”鎖国”を続けていただろう。
さて、長老世代が死に絶え、第二世代、第三世代と進んだとき、この”村”はどんな社会になっているだろう。もはや、長老たちが残した黒い箱にまつわる由来は、誰も知らない。関心は払われず、捨てられ、失われ、たまたま残った形骸だけが、伝説に縁取られる。中の切り抜き記事はまるで古文書と化し、後の世代の人間が読んでも、そこに記される文字、文脈、その世界観を、実感としてリアルに受け止めることができない。そうなったとき、彼らの祖先がかつて帰属しそこから逃げ出したこの文明は、彼らの想像力にどう映るのか。
失われた高度文明――。世界中の民族が持つ楽園喪失神話の原点がここにある。われわれは、”楽園”を追い出されたのではなかった。われわれは、”そこ”を脱け出してきたのだ。”楽園”を建設するためにこそ。
いまだそれは建設途上にあり――
65/100(04/10/05レビュー追記)
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