[コメント] 十兵衛暗殺剣(1964/日)
柳生の剣は権力の剣、というのを実証するかのような、どんな手を使っても勝利にこだわるのが柳生流の真髄、と思わせる映画であった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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主人公の十兵衛よりも、新陰流正統を名乗る大友柳太朗演じる幕屋の方が、よっぽどか主役にふさわしい。なにしろこの十兵衛ときたら、ラスト以外はいい所など一つもない。
将軍御前での、幕屋との対決では、着物の脇腹部分まで斬られて、決着を先延ばしにするし、琵琶湖ではいかに湖賊に不意打ちされたとはいえ、柳生の精鋭は壊滅するし、肝心の十兵衛までもが、小太刀を相手に刀を折られるという醜態を演じている。
そこからの巻き返しにしても、夜通し戦って疲れ果てた敵方の寝込みを襲い、寝ている相手を次々と殺していくという卑怯さ。最後の幕屋との決闘にしても、再び刀を折られ、用意した二本目の刀でかろうじて勝利を収めるとは、とてもじゃないが、天下第一の剣、とはいえないだろう。
それだけに最後、幕屋がいかに利き腕とはいえ、手に深手を負ったからとあっさり小太刀を引いたのは不自然だった。ただ、小太刀を持った手をぐっと引き、反対の手を相手にかざして威嚇し、隙をうかがう、その殺陣の迫力と、大友柳太朗の貫禄は、非常に見応えがあった。
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