[コメント] ジェリー(2002/米)
スペクトル映画
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「ウィキペディア」によると、アルヴォ・ペルトは自身の音楽について「プリズムを通過する光によく似ている」と云ったという。この映画もまさしくそれで、世界的な好評を博した同監督の次作『エレファント』と比較しても、イメージの豊穣さに於いては格段に上だと云える。『ジェリー』を観た我々が、各々の内部に完成させ、外部(例えばここcinema_scapeだ)に放出する『ジェリー』は、赤と青ほどに異なるだろう。
私のことを書こう。私が注目したのは、二人が唯一荒野に持ち込んだもの、「衣装」である。ケイシー・アフレック はペンタゴン(★)のシャツを着ている。 マット・デイモンはターバンを頭に巻きはじめる。
アメリカ人とアラブ人。そういう風に映ったのだった。彼らが何処から来、何を目指しているのか、それは判らない。しかし、互いに互いを、誤った方向に導き合っている様など見せられると、可笑しい以上に、哀しい以上に、何か末恐ろしいものを感じる。2001年に作られた本作は、翌年起こる世界史上の大事件を予言した黙示録なのか。
生き残ったマット・デイモンに向けられる運転手の奇異の眼差し。私が覚えたのは恐怖だった。
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