[コメント] ブラックレイン(1989/米)
日本に再び黒い雨が降った。降らせたのは、リドリー、あんただ。
「あんたらは黒い雨を降らせて、あんたらの価値観を押しつけた。そのせいで佐藤みたいな奴ができたんや。」
俺はこの言葉を目を細めて聴いていた。
−
原爆が落ちた直後、黒い雨が降ったそうだ。放射能の雨だ。
戦争が終わって、西洋文化が日本にあふれた。
俺もその中で生まれた一人だ。
−
そして日本に再び黒い雨が降った。
俺の目の前で。
この映画そのものが黒い雨だ。
ここに映っているのは、大阪ではない。
リドリーが作り出した架空の街・オーサカだ。
大阪でロケをしたとは思えない映像。
まるでアメリカの街に日本のセットを組んだかのような街。
リドリーは「大阪」を撮ったんじゃない。
大阪を材料に、『ブレード・ランナー』のような架空の街をつくったのだ。
日本とアメリカの文化が混ざった街をつくったのだ。
最初からそれがやりたかったんだろ、リドリー?
大阪なんて街は材料にしか過ぎないんだろ?
あんたは、日本に黒い雨を降らせた。
−
そして黒い雨に濡れた俺がいる。
俺は架空の街・オーサカに惚れてしまった。
−
いつか、誰かが俺を指して言うだろう。
「黒い雨のせいで、あいつみたいな奴ができたんや。」
しかし、俺は黒い雨に濡れたままでいる。
−
・・・などと、映画の影響を受けた僕は、かっこつけてみたりする。えへっ。
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