[コメント] 花折り(1968/日)
川本喜八郎の人形アニメーション処女作。初めから、しっかりと不条理劇への志向性が現れている。登場人物は、住職と小坊主、大尽と従者(太郎冠者)の4人のみ。
主人公は小坊主と云ってよく、寺の前で花見を始めた大尽と従者から、酒をせしめる小坊主の話であり、小坊主が酔っぱらって寝てしまう、というだけの話だ。ただし、冒頭で、桜の枝に「花たをるなかれ」という札をつけるシーンが挿入されているので(もちろんタイトルからも)、いつだれが桜の枝を、折ることになるか、という命題は、ずっと心に残りながら見ることになるし、ちょっと漫画っぽい(まんが日本昔ばなしっぽい)ルックスのキャラ造型が可愛くて、全く飽きないのだ。小坊主は頭や目など、細部の演出も実に可愛い。また、経を読む小坊主の声は黒柳徹子がアテている。赤い着物を着せられ踊った後、酔いつぶれて寝てしまった小坊主に、杯が被せられ、まるで女人のようなイメージになる。寺の庭、桜の木などの背景は淡い色の日本画調で、これも美しい。
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