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[コメント] やさしい嘘(2003/仏=ベルギー)

ソ連から分離独立後、いまだ混乱の続くグルジアに生きる3世代ファミリー(祖母、母、娘)。彼女たちの心境の隔たりを(祖母の)息子の死のエピソードから描く。
スパルタのキツネ

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グルジアといえばソ連から独立後、旧ソ連のゴルバチョフ政権のシュワルナゼ元外相が初代大統領になったことで有名。シュワルナゼ大統領が、その世界的な知名度とは裏腹に、内政的な問題が表面化した結果、野党による国会占拠事件など混乱を招き、引責辞任した国。その後も混乱は続いている。

本作の3世代家族。 祖母はスターリンの正義をいまだ信じる旧世代。祖母の信念は独立後の混乱にも影響を受けない。 ソ連の解体に続き、シュワルナゼの退陣とその後の混乱による社会変革の影響を一番働き盛りの年齢で経験した母の世代。母はすっかり自信と信念を失っていた。 娘は未来と異国に希望を抱く新世代。母の対応に不満を抱きつつもそんな母に逆らえない。

息子の死を冷静に受けとめた祖母とフランスへの不法滞在を決心した娘。母は娘の決心をようやく最後の最後で悟りうろたえる。 本作は、真実を恐れ、状況の変化に疎んじ、成り行き任せで何も出来ないでいる哀れな母の世代を主題に描いていたように思われる。

(評価:★3)

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