[コメント] マイ・ボディガード(2004/米=メキシコ)
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ダコタが生きていた。
これはない。まるっきりありえない。生きていた瞬間ぶっちゃけ映画がすべて御破算になってしまった。オープニングから生き残ったとしても耳のひとつも切り落とされてしまうくらい容赦無い誘拐集団だと前提を置いていた筈なのに、のうのうとダコタが生きていられるなんてありえない。誘拐グループは言う、「無駄な殺しはしない・・・」。そんなのは言い訳にもなっていない。真相はどうであれあの状況は明らかに誘拐グループにとっては待ち伏せを喰らわされた状況であり、そういうことをしでかすとどうなるかを今後の(誘拐)ビジネスのためにもダコタには見せしめとして死んでもらわないと絶対にいけない。それも二目と見られないくらい残虐な状態で死んでいないといけない。
ダコタを生かすこと、そして彼女の変わりにデンゼル・ワシントンが死んでしまうことで彼は殉教者になってしまった。それすなわち、映画では描かれていない彼が殺人マシーンとして育ってきた経緯も、彼の過去に行ったであろう虐殺も肯定してしまうことである。こんな映画に政治を絡めて見ることはあまり好きではないし、むしろそこは大衆向けのマーケンティング要素が原因で生かしておいたのであろうとも思うので穿ちすぎな気もしないではないが、やっぱりどうしてもそこにアメリカと言う国の傲慢さがが透けて見えてしまうようでとても嫌な感じがした。
クリストファー・ウォーケン、デンゼル・ワシントンが含みたっぷりで心の機微を映し出す芝居を行い、ダコタ・ファニングの悪魔じみているともいえる芝居で主人公の心の再生を描いてくれていただけに、終盤のオレの絶望感たるや言葉に出来ないほどであり、そういう意味で★5をくれてやろうかと思ったがやっぱり思いっきりがっかりしたので★2。
それにしても脚本のブライアン・ヘルゲランド、テメェ自身が監督するときは『ロック・ユー』とか『悪霊喰』とかゴキゲンなバカ映画を撮るくせに(自分が監督じゃなくても『ポストマン』なんてゆー超ゴキゲンな映画もあるが)、なんで脚本だけだと『ミスティック・リバー』といい勘違いダンディズムというか、今一つ釈然としないオチをつける作品にしちゃうんだろう?
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