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[コメント] エイプリルの七面鳥(2003/米)

エイプリル役のケイティ・ホームズの演技がうまい。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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感謝祭の日に末期ガンに侵された母親や家族とすごす最初で最後のパーティを開くために初めての料理に奮闘する娘と母親の復縁を描いた映画。

ビッグ・フィッシュ』系の断絶した親子の復縁を描いた映画だが、最近の家族ドラマをあつかった映画にしては珍しく家族や主人公がお互いに対する感情がかなりリアルに描かれている。

例えば、エイリプリルに招待された家族が出発当日だというのに次女はほとんど乗り気じゃないし、エイプリルの母親ジョーイは行く先々で車がトラブルになる度にパーティに行くのを嫌がるし、挙句の果てには車中でエイプリルをからかった悪ノリのジョークを家族に言う。中盤でエイプリルに対するいい思い出をジョーイが思い出そうとしても全く出てこないし、最後には唯一エイプリルのフォローをしていた父親までエイプリルの住むアパートの現状を見て呆れて帰ってしまう。主人公であるエイプリル自身も幼少時代に母親に七面鳥の置物と比べられ詰られた思い出があり家族に対するいい思い出がない。

正直、絶縁状態にあった家族の復縁を描いた映画にしてはあまりにもシビアな話なので最後まで本当にこの家族が復縁出来るのかハラハラさせられる。エピソード面でも家族と同様に七面鳥を焼くために色々と困難に遭遇するエイプリルが黒人夫婦や中国人一家の優しさに触れることで彼女がこれまで何の思いでもなかった家族へできる最初で最後の親孝行での心の葛藤や最後に見せる家族への思いやりが丁寧に描かれいて、エイプリルに素直に感情移入できるし、家族のエピソードもかなり細かく描かれ、少ない上映時間ながらかなり盛りだくさんに描いているところが好感が持てる。

そして、最後の最後になってジョーイがエイプリルのアパートに姿を現すところは感動的。会話はなくとも母と娘の気持ちが素直に伝わる。下手にドラマを作らずに写真だけで展開しているのも良い。

役者としては、やはりエイプリル役ケイティ・ホームズの演技が素晴らしい。家族への愛情表現を知らずに苦戦する不器用なところや、中国人家族の親切に感動する時の感情表現などが素直に伝わる。ジョーイ役パトリシア・クラークソンも感情表現豊かで味わい深い演技。父親役のオリバー・プラットの演技も印象的だった。

親子の和解を描いた映画としてはなかなかお薦めだが、唯一気になった点としては、エイプリルが家族から嫌われるということはよっぽどの理由がなければありえないと思うので、エイプリルと家族が絶縁状態になったきっかけを家族の会話中でもよかったのでもうちょっと詳しく描いて欲しかったところ。

それと、この作品で興味深かったのが、オーブンが壊れて料理ができずに苦悩するエイプリルを助けるのが黒人夫婦や中国人家族でアパートの住人の白人が一人して非協力的なところ。意図的だと思うがなかなかうまい演出。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)パッチ[*] 水那岐[*]

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