[コメント] スター・ウォーズ 帝国の逆襲(1980/米)
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「私はお前の父だ!」にはショックだった。ルーカスは後にこれが自分の生い立ちに関わる内容であることを吐露する。ルークは即ちルーカスである。ルーカス自身の父親との諍いは有名な話で、そのことがこの映画のモチーフになっているわけである。前作はあくまでもその作品のみで終わることを想定して作られているが、本作は完全に自分の生い立ちにかかることを恥ずかしげもなく表現しようと努力し、それが『ジェダイの復讐』へと導かれてゆく。
フォックスからキャラクターの権利を勝ち得たルーカスは作品そのものの権利を映画会社に残しつつ、莫大な版権を手にする。そして本人の父親はいつまでもいつまでもルーカスに自分の跡取りとなってほしくて、相当な諍いを演じたようだが、ルーカスは自分の意志の赴く先へと進んでゆく。
父親を”悪”と任じてしまうことにいささか抵抗はあるものの、悪の標的が実は自分の親であったというくだりには驚かされる。シリーズで最も衝撃的と言える作品である。
その後『ファントム・メナス』や『クローンの攻撃』でも親子という影が行き来するのだが、本作ほどそのことに深く立ち入って悩む姿は出てこない。むしろ師弟関係を中心に描かれる。それは黒澤の『三船』と『志村』であり、『加山』と『三船』であることを意識するもので、親子のそれではない。
この衝撃を当事者となって理解することは難しかろう。血より濃い液体はこの世に存在しないのだから。その血とアンチテーゼとなっているのが冒頭雪の国のシーンであろう。赤と白。この相反する意識こそがこの映画を高いレベルに持ち上げる要因なのだとも思える。
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