[コメント] 炎と女(1967/日)
クレジット後は、唐突に住宅地の道の奥で抱き合いキスする男女。カメラが寄ると、岡田と細川俊之。この冒頭には唖然となる。
主要登場人物は4人。岡田と木村の夫婦に、木村の友人で医師の日下武史と、その妻の小川真由美。この2組の夫婦のお話だ。他には上に書いた細川や、日下の医局時代の友人達、バーのホステス達などが回想シーンで短く登場するだけだ。小さな回想シーンは案外多いのだが、上手く整理し、前後を分かりやすく見せている。
そして、舞台となる三つの邸がそれぞれ見事な造型だ。一つ目が、木村と岡田の家。玄関ドアから階段を下りたところにリビングがある。度々、リビングから階段の手すり越しに人物が撮られる構図が現れる。二つ目は日下と小川の家。木村の家の構造に比べると、ずっと平面的な家屋だが、小川が庭でカラスを飼っている。鳥小屋がアクセントになる。三つ目が、軽井沢の林の中の別荘。部屋には薪ストーブがあり、階段を上がったところに寝室。寝室からバルコニーへ出られるようになっている。このバルコニーと寝室が事件を発生させる装置となる。これら舞台を使って、全シーン、全カット、決めまくった構図の画面を繰り出してくる。光(逆光の多用)と影、つまり照明の演出も含めて、本作は、まさに撮影の勝った映画だと云えるだろう。人工授精というテーマ(というか、マクガフィン)をめぐる作劇、鬱陶しいプロット構成が玉にキズ。ちなみに、俳優陣は、皆健闘していると思う。
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