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[コメント] セルピコ(1973/米)

腐敗に挑戦する映画は数々あれど、アプローチの方法に個性が表れます。
chokobo

シドニー・ルメットを語る時、必ずデビュー作の『十二人の怒れる男』ということになるわけだが、個人的にはこの作品を含む、前後に作られた『オリエント急行殺人事件』、『狼たちの午後』、『ネットワーク』など1970年代前半の活躍が好きだ。中でもこの『セルピコ』は『ゴッドファーザー』で一躍有名になったフレッシュなアル・パチーノが好演しており、ある意味(一時ではあるが)彼の役者としてのイメージを決定的にした作品と言えるのではないだろうか。

汚職暴露モノのはじまりがどのあたりかは確証しかねるが、この作品も含めて、思い起こせば『十二人の怒れる男』からルメットの潔癖さというものが、その後多くの暴露型ドラマの発祥のひとつとなったことは間違いない。そこには人種差別的であったり賄賂であったり、様々な事情はあるが『ルメット』のこの頃の作品はほぼ正義の側に立った作品を生みだしている。

この作品は面白い。しかしながらルメット映画監督として一流であるかどうかは甚だ疑問だ。テレビ出身ということもあろうが、ドラマが芸術して評価されるにはいまひとつ足りない。あくまでもテレビ的である。

これが決して”悪い”ということではなく、それぞれのドラマでディテールにこだわっていることが良くわかるだけに、長年見ている我々にとって近年の駄作は寂しいとしか言いようがない・

(評価:★4)

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