[コメント] 天使の肌(2002/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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一人の少女の成長を描いた映画。
前半からすると、偶然知り合った男性グレゴワールに恋を抱いた主人公アンジェルが彼を追って街に行くところや、グレゴワールが偶然知り合った社長の娘と婚約してしまう展開など、三角関係の恋愛映画になるかと思ったが、中盤からは神を信じられなかったアンジェルが家政婦として働いていた家で殺人を犯した主人フェヴルの共犯者として入れられてしまった刑務所で修道女オギュスティーヌに出会ったことによって自分の生きる道を見出せなかったアンジェルの成長という部分が描かれ、かなり宗教色の強い人間ドラマとなった。
序盤で幼少時代のアンジェルのシーンを流したり、歌が上手いというキャラ設定にしたりしているのに、そのことがほとんど生かされずに話が進むため、後半で自分の生きる道を見出したアンジェルが刑務所の女囚たちに花を届けて喜ばせようという彼女の志が思ったほど感動的に仕上がっていないのが残念。
ただ、アンジェルが刑務所に入れられるというハードなシーンを作っても重々しい雰囲気にせずに、彼女が自分の新たな人生のを見出そうとする爽やかな展開に仕上げている点は好感が持てる。
ラストの展開を見て、この映画は『アメリ』のように人知れずに人を喜ばせようとするタイプのキャラの主人公がそのことに気付くまでの成長を描いた映画なのかな思った。前半で家政婦として働く屋敷でそこの住人である夫人が彼女に怒るシーンでも、その根底には夫人が面と向かってはけ口を言えるのは彼女だけであるという意図が見られ、何気ないシーンの中にも実は彼女が知らずの内に相手を悩みや不安から救い出そうとしているところが監督の意図するところなのではないかと思う。
しかし、リアリズムを重視して、グレゴワールとのエピソードが後半全然生かされなかったり、フェヴルからもっと早く供述を取ればアンジェルはすぐに釈放されるだろうとか、前半と後半で映像の整合性が取れていないといった疑問点を突き詰めてしまうと話として成立しなくなってしまうため、長くなってもいいので監督にはもっとキャラ同士のドラマにこだわって作って欲しかった。
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