[コメント] エノケンの怪盗傳 石川五右衛門(1951/日)
米も娘も農家や町屋から強奪し続ける中世の侍。刀が嫌いな鍛冶屋の榎本健一が神様に巨大磁石を貰って義人を志す。序中盤は面白い。コメディにしては本格的な撮影がいい。毛利監督は伊丹万作の助監督経験者とのこと。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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盗んだ金貨を畳にぶちまけてしまうエノケンと、これに気づかず妻を怖れ続けるアチャコの殿様の件がスリリングなドタバタで素晴らしい。朽ちて川に流れてゆく告看板で表す時の流れや、湖の波紋に消えるヒロイン榎本美佐江の写し画など、コメディなのにやたら抒情的である。
しかし義人伝は中盤でブレーキがかけられる。榎本は居酒屋で五右衛門のお蔭で遊んで暮らせると酔いつぶれる酔客を叩き出す(この柄杓を振り上げる仕草が可愛くていい)。進歩派が保守派に転向する機縁によくある体験談(ウェルフェア・マザーとか)の一事例の趣。
彼女はエノケンに「あんたはバカよ」と嘆き、「貴方は本当の泥棒になってしまったのね」と去る。五助が五右衛門と間違われ、最後はずっと隣にいた杉山昌三九の虎坊主が本物の五右衛門だった、というオチになるのだが、この着地は決まらず外している。五右衛門の出自は町人ではないから、どこかで説明が必要なのだろうけど、それならそれで、杉山にもっと見せ場を設けなくてはいけなかったと思う。
あきれたぼういずが傀儡師(彼等の唄では「にんぎょうし」と自称している)役で時局の歌を唄っている。色っぽい盗賊の浜田百合子は洞穴でのダンスほか素敵。
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