[コメント] ベルヴィル・ランデブー(2002/仏=ベルギー=カナダ=英)
台詞は殆ど無し。一応ストーリーはあるものの、そこにドラマ性は無いため、感動だの興奮だのといった映画的な熱いパッションが込み上げてくる事は無い。が、しかし、その代りにひたすら、目の前で動き回る絵と音がノリノリでシンクロしまくったシュールなコラボレーションに酔いしれ、何か懐かしい物を思い出す。
ここで言う「懐かしい物」ってのは、一応「動く絵を見る楽しさ」と言う物なんだが、勿論、俺は「絵が動き始めた時代」に生きてた訳じゃない。俺が生まれた時は、既に絵がテレビのブラウン管の中で、映画館のスクリーンの中で動き回っていたし、小学校に入る頃には、テレビゲームと言う代物を使って、自らの手によって自由自在に絵を動かしていた。
そんな「活動写真」が当然の時代に感じた俺ですら、この映画を見て、その楽しさに酔いしれ、大笑いし、笑顔にならざるを得なかった。
音楽が素晴らしい事は言うまでも無く、そこに合わさる極端にデフォルメされた奇妙キテレツな人間たちと乗り物等と、細部まで綿密に描きこまれた背景が文句なしに素晴らしい。絶好調のリズムを叩き出す音楽と相まって、ノリノリのヘンテコムービーがここに生まれた!
ノった者勝ちの生粋のアニメーションフィルム!
◇
上述しているが、本作は台詞が殆どなく、その動きと、動きによって説明されるシチュエーションを楽しむのみであると思う。一応ストーリーはあるものの、はっきり言ってどーでもいいと俺は思う。だって、俺は「おばあちゃんが孫を救出に大都市ベルヴィルに向かう」と言うストーリーである必然性をあまり感じないんだもん。でも、この映画に文法的なロジックや、変な理屈付けは全く不必要。っていうか、そんな堅苦しい物なんて、ババア三姉妹の歌声が空の彼方に吹っ飛ばしてしまう。
「ベルヴィルへようこそ」で始り、「ベルヴィルここまで」で終わる本作。1時間20分のお祭り騒ぎだ。
一瞬の祭りにイチイチ理屈つけて楽しむこたぁない。旅の恥はかきすてだ!って訳で、声を大にして大笑いする俺。うーん、楽しかった。
◇
余談だけど、劇中でババア三姉妹が見ていた映画、あの自転車に乗ってる奴。恐らくジャック・タチの映画でしょうか。とか言っても、俺は『郵便配達の学校』しか見た事ないから、そうだとしたら、それしか無いのだけど・・・
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