小さい頃から宮崎アニメに慣れ親しんできた者にとっては、「どこか西洋風の国」「素直な心を持つ少女」「美形で守ってくれる男の子」「その男の子がいきなり鳥になって空を飛んじゃう」「身体一つで思いのままに魔法が使える」「小さい子供や火の妖精等の愛すべきキャラクター」「悪役だったはずの人もすっかり毒気がなくなって仲間に」…このあたりを網羅しているだけで既に参ってしまう。

が、一方で、首をひねる点も多々ある。西の魔女が何故ソフィーに魔法をかけたのか、結局呪いは解けたのか、ハウルとカルシファーの契約とは具体的に何だったのか、一体どういう内容の戦争なのか、マルクルの過去は？等、一見してもこの辺の謎がさっぱり分からない。しかし、先に書いた「宮崎アニメのツボ」があるだけで帳消しにしてもいいとさえ思える。（謎については解読サイトを検索して大方解けました。やはり映画だけでは分からないこと多々）

何より皆、「言いたいことが言えている」というのが気持ちいい。かかしのカブは動作のみだったが、呪いが解けた直後には自己紹介から愛の告白まで、流暢に語ってるし。 ハウルがサリマンの所へ来た時の「ソフィーが居ると思ったから来れたんだ」や、マルクルの「どこにも行かないでソフィー」まで、素直な愛の言葉というのはどんなに沢山の呪詛の文句よりも、なんて清らかで最強なんだろう。

そしてキムタクはほんと、予想外の好演でした。