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[コメント] 正義だ!味方だ!全員集合(1975/日)

シリーズ最終作。最後の2本を任されたのが、瀬川昌治ということになる。本作は横浜港のシーンから始まる。
ゑぎ

 いかりや長介の後ろ姿。仲本工事が現れ、彼は長介の子分のような相棒だと察しが付くが、ヤクザか?刑事か?と思っていると、コケて、持っている鞄の中身をぶっちゃけるので、チンドン屋だと分かる、というオープニングだ。彼ら2人が、とある商店街(伊勢浜商店街という名前だが、ロケ地は伊勢佐木町)の窮地を救う話だが、実質的に活躍するのは、加藤茶榊原るみのカップルで、長介と仲本は、上手く立ち回ろうとしているだけで、あれよあれよという間にことが進展していく、というプロット展開だ。

 ただし、全体にコメディパートが弱く、笑いの量と質はかなり減衰してしまっていると思う。高木ブー志村けんも勿論出て来るが、ほとんど活躍せず。悪役は伊東四朗だが、全く笑いに機能するシーンはなし。ゲスト出演的な笑福亭鶴光財津一郎もギャクを披露するワケでもない、という扱い。その点、ミヤコ蝶々園佳也子の二人は、しっかりと爪あとを残すが、面白かったのは、この二人ぐらい、という感覚なのだ。もっとも、こゝでも、いかりや長介の上手さは良く伝わってくる。

 例えば、長介が加藤を事務所の奥の部屋へ連れて行き、母親−園佳也子に秘密をばらすと脅すカットだとか、あるいは、園に秘密がバレたあと、長介が園を説教する場面だとか、この人の芝居の活きる、良いシーンだと思う。この後、外で、園が加藤に「あのゴリラ、なかなかいいこと言うちょった」と告げるのも納得の演出なのだ。

 あと、終盤のクライマックスと云っていい、横浜港の倉庫・工場地帯でのアクションシーンについて。こゝは微速度撮影を使ったドタバタ、スラップスティックのシーケンスとして造型しているのだが、かなり手間はかゝっていることは見て取れるが、全然、笑いに繋がらない可哀想なシーンだと思う。ところが、このあとのエピローグは、私は好きだ。いきなり20年後に時間が飛び、加藤から園への年賀状が導く、塾の教室のシーケンス。こゝでも講師・いかりや長介の授業が面白いし、皆での歌唱シーンになるナンセンスさがいい。

#備忘でその他の脇役等を記述します。

・伊東四朗はオオカミ組の親分。子分には、潮健児(潮建志)、団巌ら。伊東のバックには不動産屋社長の金子信雄がいる。金子の家の女中は浦辺粂子

・伊勢浜商店街組合の面子の中に、出光元(東晃星)や水木涼子の顔が見える。高木ブーの印刷会社の工員で鈴木ヒロミツ

・榊原るみがやっている人形劇。仲間には、名倉美里長谷川コッペがいる。集会のシーンで、キャンディーズが「ハートのエースが出てこない」を唄う。

・雑誌社から、いきなり乗り込んでくる記者?は、塩沢とき、写真家・豊岡豊。終盤のドタバタシーンの電柱にいる男はドリフの付き人時代の、すわ親治だ。エピローグで年賀状を配達する郵便配達員は立原博

(評価:★3)

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