[コメント] ネバーランド(2004/英=米)
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『ビッグ・フィッシュ』系の夢の世界の空想が現実の厳しさを救う感動人間ドラマ。
父を失った子供たちを悲しませないために深刻な病気を隠し、子供たちの前では笑顔を絶やさず、元気な母親を演じ続けるシルヴィアの姿が感動的。ジェームズと遊ぶ子供たちを遠巻きに見る優しそうな笑顔が、子供の成長を見守るなんとも温かい母親の笑顔で、そんな表情を作れるケイト・ウィンスレットの演技には本当に感心させられる。また、母の死に不安を感じピーターが破ってしまった演劇のノートをこっそり直して、ピーターに渡してあげたり、「ピーター・パン」公演の日にピーターだけは演劇を見せに行かせてあげたりなど、全てが母親の優しさに溢れている。
しかし、そんなシルヴィアも母親の顔だけでなく、演劇好きという少女の心も持っており、シルヴィアの自宅でジェームズが行った「ピーター・パン」の公演では、死の瀬戸際で初めて少女のような顔を見せる。この公演でピーター・パンを演じたケリー・マクドナルドがまたかわいいので余計に感動的。ほか『秘密の花園』のケイト・メイバリーがウェンディ役で久々に出演。
ただ、気になる点としては、デイヴィス一家とは裏腹にジェームズ・バリの実像がいまいち描かれていない点。出会ってすぐにデイヴィス家の4人兄弟と仲良くなり、さらに子供の心情を理解できるほどの子供好きなら、今まで結婚して子供を作るとか、あるいは養子をもらうとかしてもいいのに、彼の家からは全く子供好きというイメージが感じられない。ただ、デイヴィス一家と知り合い、「ピーター・パン」の構想が生まれたというのでは安易で、子供好きの彼がデイヴィス一家と知り合うまでなぜ無邪気な心を覆い隠していたのか、もう少し彼の過去や心理について掘り下げて欲しかったところ。
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