[コメント] インストール(2004/日)
上戸彩も、神木龍之介も、来年には過去の人になっているかもしれない。そういう刹那的なスタンスのふたりを使った意識的にチープなお遊戯。セットや音楽は大林宣彦のアイドル映画を想起させるかと思えば、いやいやとんでもない。ジェリービーンズの中に爆薬を仕込むような片岡監督、意外に才人かもしれない。
上戸は演技的にも肉体的にも未熟だが、もう今が充分旬なのかもと思える。脂が乗ってきたと思う頃には、もう腐敗している可能性がある。彼女には「下品な真似をしても可愛く見える」という素晴らしい一面があるが、それで売れる時期はきわめて限られている。かといって演技派に転じられるかといえば、たぶん無理だろう。馬鹿話をしながら笑い呆けるのが魅力的に見えるのは、せいぜい20代前半までだ。
いっぽう神木は、自覚しているか判らないがひどくコケティッシュな子役だ。それゆえあちこちから引っ張りダコである。マセガキを演じても不快感を感じないのは、彼が背伸びの似合う子供だからだ。だが、声変わりの時期を過ぎた頃の彼を見るのは怖い。彼の子供としてではない演技が観られるものかどうかは、完全に未知数だからだ。
人工的でチープなセット、さながらなつかしのドラマ、『おくさまは18歳』を思い出させるような音楽の入り方…自分には不思議にそれが苦にならず、むしろ爽やかであった。ふたりとも出来上がっている俳優ではあるが、逆に創り手次第で何色にも染まる透明感を持つ点では共通しているからだ。こうやって二人を成長させることもせず、ただ手の中で転がして遊ぶ片岡が、ただの凡庸な監督とは思いがたい自分なのである。
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