[コメント] トニー滝谷(2005/日)
つまりだ市川準は「映像表現」としては完璧に近いモノを作り上げたかのようである。多くの鑑賞者たちにとって忘れ得ぬ映像が続く至福の時間があった。それはここで多くのコメンテーターたちによって絶賛の評価を得、また海外の批評家による高評価でも明らかである。
私もこんな「映像」が好きだ。
だが、「映画」としては本当にソレだけで良いのだろうか?独りの男の孤独感を充分描き切ってはいた。だけど「映画」としては全く面白くない。
大人気作家の「文学」を否定するなんてトンデモナイ愚を犯そうとは思わない。・・思わないけれどコレは短編映画でやる代物だったんじゃないだろうか?起承転結の結があのような突き放しではやりきれない。「文学映画」だよと諭されようと私には面白くなかった。
また、私には宮沢りえが二役を演じた事に合点がいかない。男にとって妻亡き後の「女」はどんな容姿でも良かったのだろう。サイズさえ合えば。私は思う、「女」の顔は描かなくても良かったのではないか?二役を宮沢りえが演じた事で「瓜二つの女」という誤解が生じる。鑑賞者すべてが原作を読んでいる訳ではない。要らぬ誤解を生じさせるような「映像表現」は過ちだと思う。いっその事、女に黒頭巾でも被せた演出の方がより「芸術性」が高まったかもしれないし・・・
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