[コメント] きみに読む物語(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ノアとアニー、ふたりの出会いと別れからすると、主人公の友人とその彼女がキーマンと思われるのだが後の物語に絡んでこないのは不自然。ノアとアニーの2人が音信不通となった際には、ノアは友人の彼女にアニーの消息を聞くべきだし、私ならそうする。アニーもそのアプローチを試みないのはおかしい。 出来ない理由があるとすれば、前後して友人のカップルも別れてしまったということかもしれない。
1年待った傷心のノアは、友人と一緒に第2次大戦、しかも鬼の『パットン大戦車軍団』の一員として出征するわけですが、別に正義に目覚めたわけでもなく、ただ傷心によるやけっぱちな乗りのようで、本作の流れの上では唐突で安易な気がした。アニーを忘れたいからと言って、ドイツのロンメル将軍を(変わりに)追いかけました、な乗りはちょっとおかしいし、友人の死に様など演出皆無(死んだかどうかは不明)。 この描写から言えることは、ノアと友人の2人が失恋状態だった?と言うところでしょうか。
そして、アニーはフィアンセと病院で知り合うわけですが、包帯だらけの彼がノアの友人でノアの今の気持ちを伝える演出かと思いきや、やり手のビジネスマンという、これまた唐突な恋敵の登場も違和感があった。 その一方で、約束どおり家を建てて一人暮らすノアには、未亡人との関わりをもったことも含めてそれなりに感情移入はできた。
そして痴呆症のハミルトン。ジェームズ(ジェームズ・ガーナー)に対する振る舞いの変化に、はっとため息を飲んだが、途切れ途切れながら語られるそれなりにボリュームのある物語を途中で忘れずに理解できるのは、設定上虫が良すぎる気がする。ラストで2人が手を取り合って逝くのは、アルツハイマーの何の解決にもなっていないけれど、実話ではない、ファンタジー作品としてはありだと思う。
とにかく、ジェームズ・ガーナーの演技が何よりも素晴らしかった。ハミルトンと一緒に写った2人の若い頃の写真を眺めるシーンがありましたが、あの写真は若き日のガーナー本人の写真(多分『大脱走』でヘンドリー役を演じた際のスチールの合成と思われる)で、そういう意味でも老齢のガーナーの哀愁が漂っていた。
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