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[コメント] 影なき声(1958/日)

田端、大井競馬場、小平町、渋谷のトリスバー、花園の飲み屋、日劇、西銀座などを舞台とする。二谷英明が勤める毎朝新聞も有楽町あたりか。南田洋子高原駿雄の夫婦が住むアパートは、田端駅近くの高台にあり、線路が下に見える。高低の効いた良いロケーションだ。
ゑぎ

 ドリーを使った横移動の多用は、日活撮影所の並々ならぬ技術力を感じさせるものだが、同時に本作の時点で、キャッチーな演出・繋ぎも多々ある。もしかしたら、まともに繋げなかっただけなのかもしれないが。例えば、郊外の道で神輿と社用車がすれ違う場面なんかも奇妙な空間処理だ。あるいは、南田の分裂気味のキャラが導く不思議な繋ぎも目を引く。宍戸錠が現れる悪夢のシーンなんかが顕著で、特に、公衆電話から宍戸に電話しようする場面は、いったい何だったのだろう。白日夢なのか?しかし、宍戸の悪役としての怖さもよく出ている。また、突然、フォトジェニックな朝靄の中の田園風景が現出したりするのも、まぐれで撮れただけのような気もするが、瞠目させられる。

 あと、南田のカットの背景にある、般若のイメージも意味不明でいい。オープニングの電話交換手のシーンで、既にバックの壁に般若の絵がある。

#備忘で配役等を。

・悪役チームの麻雀仲間に宍戸の他、芦田伸介金子信雄。芦田の部下の元ボクサーで野呂圭介。本作の野呂は、なかなか目立つ役。芦田の情婦マリは、かなりの変態。石塚みどりという人。小平の食料品店のオヤジ・柳谷寛。その妻は初井言栄

・二谷の新聞社の上司で内藤武敏。高原を締めあげる刑事に高品格。小平の刑事で長弘

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)赤い戦車

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