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[コメント] 少女ヘジャル(2001/トルコ)

レオン』のジャン・レノが75歳に、ナタリー・ポートマンが5歳になった物語(違 2005年2月18日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







事前に偶然パンフレットを見ていたので良かったが、パンフを読んでいなかったら本当に、この問題に関する知識が皆無だった。

クルド人問題――そんな物俺は全く知らなかったのだが、かなりヘビーな映画である事はある程度予期していたのだが、実際見てみると、特に政治や歴史等のバックグラウンドを特に知らずしても、ある程度「映画」として楽しめる様に出来ており、本作の完成度の高さが覗える。

物語の軸となる物語は、非常にスタンダードな物で、『ビッグダディ』やら『アバウト・ア・ボーイ』やらみたいな、正反対の大人と子供の物語。但し、本作はコメディではなく、あくまでシリアスなので、『レオン』辺りが一番近いかな(嘘

幼い5歳のクルド人少女ヘジャルと、元判事の75歳の厳格な老人との暖かい交流。少女がクルド語しか喋れない上にガキ、と言う事で四苦八苦しながら育てていく内に、少しずつ心を通わせて行く過程は、物語が安直なので安心して見れる(むしろ二人の関係よりも、ヘジャルが警察等に見付かってしまう事の方を憂えている俺が居た)。

最終的に、ヘジャルと心を通わせる為にクルド語の勉強を始める真摯な姿に、監督が本作に託した思いが見て取れる。

厳格な老人は、まさに国内の保守的な体制の象徴だろう。そして、それらがクルド人に対して真摯に歩み寄る。

本作が上映禁止にされた事と、海外で賞を得た事が同時に納得できる。

ラストシーン、ヘジャルは老人と居残る事を選ばず、既に死んだ両親を探しに行く事を決断する。このシーンが一体何を象徴しているのかおいらには良く分からないけど、単純に「別れ」と言う意味だけのシーンとして非常に秀逸な出来栄え。泣けた。

老人が必死にヘジャルに「また帰って来い」とカタコトのクルド語で言うシーンには思わず涙が出る。ぐうう。泣ける。

ただ、所々大袈裟に挿入される音楽はちょっと過剰演出。何と無く香港映画的な臭いも漂っていてちょっとやりすぎかな。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)KEI RED DANCER[*]

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