[コメント] ライフ・イズ・ミラクル(2004/ユーゴスラビア=仏)
ボスニア内戦をここまで楽観的に、豪快にハチャメチャに、そしてユーモアたっぷりに描いていく前向き姿勢が力強い。この映画を観ていると、民族や国家の利己主義による戦争なんて馬鹿げたものだと本当に思えてくる。人生には奇跡くらいあったっていいじゃないか!(2005.8.17.)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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言ってしまえばタイトルで掲げていることを2時間半費やして語っているだけなのだが、その超楽観主義で納得させることができるのは、映画に力があり、監督エミール・クストリッツァに力があるからに他ならない。ボスニア内戦がしっかり根底としてありつつ、そこをベースにとにかくやりたい放題ユニークな要素を詰め込んで豪快にやっている。過剰な演出が非常に面白い。特に序盤のサッカー試合での大乱闘には圧巻。あまりのハチャメチャさに笑ったが、それでいて民族同士が喧嘩をするという内戦の縮図にきちんとなっているのが興味深い。
しかしやはり、何が一番良かったかと言われれば迷わず“聖なるロバ”と答えてしまう。絶望で泣いているという登場シーンから次第に主人公に共感しているように見えてくるのがなんとも可愛らしい。ラストで待ってましたとばかりに起こす奇跡はこれしかないというエンディングだった。
この映画を観ていると、つらい状況下のはずなのにあまりに楽観的かつユーモアが溢れている主人公たちがそこにいて、もともと同じ国家だった地域で内戦なんかやって、民族が違うからだの、民族としての独立国家がほしいだの、そんなことで喧嘩しているのが馬鹿らしいと感じさせてくれる。傑作『アンダーグラウンド』は狂気に満ち溢れていたが、こちらは前向き姿勢とユーモアに満ち溢れている良作だ。
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