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[コメント] バッド・エデュケーション(2004/スペイン)

アルモドヴァルは、やっぱり男よりも女性を描く方が良いです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 いまやスペインを代表する映画監督となったアルモドヴァル。特に女性の描き方に定評のある監督だが、自身はカミングアウトして、自らがゲイであることを明かしている。  そんなアルモドヴァルが選んだのは、そのままストレートな(?)ゲイの物語。出てくる人間の大半は美少年および美青年ばかりの耽美あふれる作りで、本当に作りたいように作ったなあ。と言う素直な感想を抱かせてくれた。

 私としてはちょい耽美系は苦手意識もあって、劇場ではスルーしたが(というより地方には来なかったというのが専らの理由だが)、ビデオの方で鑑賞。

 少なくとも、私がこれまで観たことのないジャンルであったのは確か。男同士の痴話喧嘩(?)なんてものを観る機会はなかったし、謎めいた物語と陰影の深い描写は確かに引き込まれる力を持っている。最初から苦手意識を持たずに観ておけば良かったと思えるくらい。やっぱりこの人の作りはうまい。

 この映画の特徴としては、極めて色を抑えて作ったと言うことだろうか。前作『トーク・トゥ・ハー』の時からだと思うが、それまでの原色を使いまくる作風から一転。色彩を抑え、その代わりに陰影を濃くする作り方をするようになり、特にこの作品だと、まるでモノクロ作品かと思えるくらいに白と黒のコントラストを強く打ち出している。人間の体はあくまで白く、その周囲は闇に落ち込んでいるかの如く暗く、黒を基調とする。それだけにシーツや壁と言った無機質な白さが目につき、時折現れる原色の色遣いが映える。新世紀に入って作られたのにもかかわらず、あたかも古いニューヨーク派の作品を観てるような気にもさせてくれる。面白い作品だ。

(評価:★3)

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