[コメント] バッド・エデュケーション(2004/スペイン)
アルモドバル流フィルム・ノワール。予測不能の展開はミステリアスであり、変態チックである。このぐらい刺激が強い方が下手なミステリーより楽しめる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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前作『トーク・トゥ・ハー』にて純愛と偏愛の境の究極的な愛を描くことで、アルモドバルはもはや来るところまで来たという感じがする。傑作を生み出した次の作品である本作は、さすがに前作ほどテーマ性に深さは見られないが、個性はしっかり発揮し素直に楽しめる作品を作ってくれた(“素直に楽しめる”のは僕にとってという話で、人によっては衝撃的な内容かもしれない)。
今回、アルモドバルは得意とする女性を描くことなしに自らの世界観をしっかり構築した。そこで女性の代わりに美しく描かれたのがガエル・ガルシア・ベルナル。女装をしていても妙に美しく、男として裸体を披露しても肉体美が同じく妙に美しく、ガエルは怪しく魅力的に撮られていた。ガエルに向けられた目線、これはアルモドバルならでは。ガエルがジャン・ポール・ゴルチエの衣装を纏うのも、やはりアルモドバルならでは。
ガエルの魅力も手伝って、美術や視点などアルモドバルらしさも手伝って、異様にドキドキさせられながら映画は進む。「フィルムノワール週間」という上映が組まれた映画館が登場するように、この映画はノワールであることを意識させる作りであるが、この映画くらい独特の趣向が凝らされている方が刺激を感じて楽しめる。作品としての成熟度は高くはないが、新鮮な感覚を味わうことができた。
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