1999年の冬だったか、ドイツに滞在していたある日、ベルリンの駅の中にある大型モニタで、サッカーの国際試合が流れていた。それも、ドイツ代表の試合。

ちょうど暇だったのでしばらく眺めていたが、ドイツ側がゴールを決めるたびに「イエー！！」と沸く他の観客たち。結局その試合は3ー0でドイツが勝ったが、もしも負けていたら暴動でも起きていたんじゃないか、と思えるくらいの雰囲気があたりに満ちていた。

そういったドイツの人たちにとって、きっとこの映画は特別なものなのだろう。「サッカーは少年を大人にし、大人を紳士にする」という言葉があるが、このスイスワールドカップこそがマティアス少年を大人にし、父親を紳士にしたとも言えるかもしれない。