[コメント] 壁の中の秘事(1965/日)
巨匠たちでさえまだ「清潔さ」しか感じ取れなかった時代の団地という構造物に、弛緩して淀んだ空気を読み取るこの仕事!
コンクリート、という言葉はこの映画の中で一言も使われていないが、われわれの世代であれば「コンクリートの壁」という語句から読み取り可能な何物かが、早くも表現されている先例。その制作動機は、団地という構造物の持つソビエト的異様さにあると思われる(←意味不明表現すみません。スターリンのポスターに無理矢理引っ掛けました)が、これを「異様」と認識し得たセンスが当時どれだけあったのか。いま確実に言えるのは、一見婆臭く見えながら可憐な少女のように見える瞬間を持つ藤野博子 (クレジットの順番は一番だった)をはじめ、役者陣の容貌が実に過不足なく適切、ということくらい――。
85/100(08/03/15劇場初見)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。