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[コメント] マラソン(2005/韓国)

自閉症ものの秀作。秀逸な「ギャグ」連発に、マルクス兄弟は自閉症だったのかとふと思う。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







性欲なしに女性を追いかけ、素っ裸でプールに現れ、上半身だけコーチの背広勝手に着てネクタイまで結んでしまう「意思疎通のできない障碍」。ハーポそのままではないか。おそらくハーポは自閉症者(当時は病名もなかったかも知れない)からずいぶんいただいているのだと思う。21世紀にこれは障碍であり、笑いを共有する類のものではなくなった。アンチ・フェストゥムからポスト・フェストゥムへ時代は変わった。

物語はマラソンを奨励した母のキム・ミスクが自分の自己満足ではなかったかと自虐に陥るが、息子のチョ・スンウは「100万ドルの脚」と彼女のギャグを返して彼女の意思を全肯定する、というもの。この気づきは美しい。届かない善意と空回りする悪意(この子が死んだ翌日に死ぬわ)。苦しさが伝わってくる。野生の比喩もまた障碍の乗り越えに向けていいものだろう。ただ前半にとても魅力的だった彼女が後半霞むのが残念。

(評価:★4)

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