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[コメント] ヒトラー 最期の12日間(2004/独=伊=オーストリア)

負け戦の舞台裏。070505
しど

ヒトラーの人間性は、ひどく中途半端な描かれ方だった。「ヒトラーは、弱さと狂気と優しさとを兼ね備えた魅力的な人でもあった?」の「?」を外せないのは、まだまだ戦後半世紀以上を経ても残るドイツ人の苦悩の断片であろう。

本来のヒトラーの魅力は、この映画には描かれない、「最後の12日まで」にあるはずだ。第一次世界大戦の敗戦により近代化を阻まれたドイツに、活力と希望を与え、反対に欧州の抑圧国家を恐怖に陥れた。まさに、奇跡と栄光の道のりだ。その輝いたヒトラー像を加えないと、どうしても、物足りなさは残る。

その分、「ドイツ人の苦悩」を描くのは問題無いので、負け戦に向う中での首脳陣の狼狽と退廃の過程は、非常に念入りに描かれていた。徐々に、打ち込まれる砲撃の音が作戦司令部に近づく中、人々のストレスは極限状態となり、指導者に逆らう者、追随する者、いろいろ出てくる。

しかし、原作者であり主人公でもある秘書が、最後までヒトラーから離れなかった事実は、案外、当時のドイツ国民としての平均的な姿なのかもしれない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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