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[コメント] 右側に気をつけろ(1987/仏)

コメディ要素と難解さが共に介在する無茶苦茶な映画に思える。どちらを取ってみてもやはりゴダール、そして映像に魅力が宿る。
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 コメディとして見ると、冒頭からゴーダル本人演じる白痴による道化芝居が面白い。ジェーン・バーキンが登場する「蟻と蝉」のシークエンスや破天荒な飛行機の中でのドタバタ劇も笑える。

 難解さという意味では、「生は選ぶことができない」や「人は思っている以上に不幸」などといったナレーションが僕の思考を刺激する。生と死について考えてしまう。「後悔とほほ笑みは重なる」という白痴の台詞もその意味を追求してみたくなる。『映画史』を撮っているゴダールらしく、光について語ったり映像として表現する箇所が多いところでは、「映画」についても考えたくなる。

 そういった難解さによる思考の活性化を快感とさせるのが映像の力。ジャック・ビユレ演じる“男”の手錠で繋がれた手と移り行く列車からの景色や,何度も開けられる窓とそこから見えるさまざまな太陽の景色など、美しい映像がゴダールならではの映像詩として映画を芸術たらしめている。

(評価:★4)

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