[コメント] お人好しの仙女(1935/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
物語の動機は堅苦しい処がある。孤児の娘は映画館にスカウトされて孤児院の施設長に「貴女は社会に食べさせて貰ったのだから恩返しをしなさい」と云われる。また収束はコンサバ寄りである。対決を続けていた精肉業者の社長に恋人が採用されて喜ぶというハッピーエンドは、社長のここまでの非道を顧みれば、いくらか納得しがたいものがある。そんな顛末だが、中身は愉しいロマコメ。
最初の映画館の客レジナルド・オーウェンはいいキャラで、途中から脇役に退くのが惜しい気がした。精肉業者フランク・モーガンが酔って♪私はクーガー、君は子羊、君を抱えて洞窟へ とかいう仕方のない歌を唄って娘を誘惑するのが実に恐ろしく、ときどき乱入する大臣も箆棒な印象を残す。そんななか貧乏弁護士ハーバート・マーシャルは、娘のあてずっぽうで亭主にされて、鉛筆削り買って喜び、髭そり落とす。正直が報われたと弁護士が思っているから、娘は精肉業者に会いに行く。それを知って弁護士は商売女と疑う。誠に世の中うまくできていないものだ。
極上なのは偽物の狐の襟巻(FOXINEと書かれキツネンと訳されていた)して合わせ鏡でステップするショット。ハーバート・マーシャルからの安いプレゼントを大切にするのが美しい。邦題通りお人好しなのだ。サラバンは決して美人ではないが笑顔がひとなつっこくていい。相手の思ってもみないような角度から、相手の心を押しはかるような言葉を投げかけてきて、ドギマギさせられるような、そんな女はいるものだと思わせられるいい造形だった。ハッピーエンドで良かった。地球儀をプロペラ機が回るユニバーサルのOPロゴは初めて観た。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。