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[コメント] ハッカビーズ(2004/米)

古代の人がいろいろな宇宙の姿を想像した並みに、人それぞれが勝手な宇宙像を作り上げて、かみ合わないという、現代に生きる人間たちの迷走ぶりをおちょくったのか? 
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







宇宙の真理だとか、自分は何をなすべきか、なんてことをいくら各人が自分の常識の範疇で追求したところで、それはめいめい勝手に「亀の甲羅に象が乗っている」のだとか「空から星がヒモでぶらさがっている」のだとか、そんな「宇宙像」を言い合っているに過ぎない。それを判断する当の個人の常識が変わってしまえば(例えば「世界は球だ」とかということを知る前と後では)、まるで変わってしまう。科学という共有の知識でもっていろいろなことを解明してきたのに、どういうわけかここにきて人類は、個個人の世界観に没頭していって、互いにわけのわからない価値観を持つバラバラな存在になってしまった。そういう姿に対する風刺なのかなあ、と思った。

ジュウド・ロウが「僕は僕だろ?」という台詞があるが、ちょっとした経験をしたことで「お気に入りのジョーク」が言えた時の自分と、それを思い出しただけで吐き気を催す自分とに分け隔たれてしまう。「僕」はいつだって「僕」なのか? How am I not myself? (自分が自分自身でないなんて有り得る?<戸田奈津子・訳) そいつを疑え、ということなのかな? 

よくわかんないけど、ここで描かれているドラマって、そういうふうに哲学的な問題にもできるかも知れないけど、「アイ・ラブ・ハッカビーズ」の原題どおり、環境破壊をする当の百貨店を支持します、という自然保護団体のつけるバッチに象徴されるような、それこそ社会批判をテーマにしたコメディにだってできるはず。そのうちグローバル企業がロハスな生活を「提案」するようなことにだってなるかも知れないよ、っていう切り口もありかも知れない。監督の興味が最初から哲学にあるから、そうはならなかっただけ。

「僕は僕だろ?」を疑えって、だからどうした?ってな変な作品だけど、こんなのも作れるんだあ、という点は感心。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)煽尼采

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