[コメント] シンデレラマン(2005/米)
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アメリカの大恐慌時代にアメリカ国民に夢を与えたと言うことで有名な奇蹟のボクサー、ジム=ブラドックの伝記調に撮られた作品。本国アメリカでは「感動できなければお代を返します」という挑戦的なコピーもあって、大ヒットを記録した。 で、私自身はどうだったかというと…
「普通に良い映画かな?」という程度。
実際悪い作品ではない。クロウはボクサーを演じるには老けすぎてるが、貧乏でも栄光の絶頂にあってもどこか困ったような顔を崩さず、それがこのキャラクタの魅力と映るし、ゼルウィガーも普通の主婦役をきちんと演じていた。芸達者な二人が中心に話を押し上げていくので、もちろんキャラびょしゃに関しては文句なしだろう。又、ボクシングの描写も良く、『レイジング・ブル』(1980)を思わせる描写が、臨場感をしっかり盛り上げたし、超人同士の戦いにはしなかったので、リアリティがあった(驚異の打たれ強さはともかくとして)。
ただ、ちょっと引っかかったのはストーリー部分で、あまりと言えばあまりのベタさぶりに、かえって驚かされた。何のひねりもないアメリカン・ドリームのお話で、1950年代に回帰したのか?と思いたくなるほど。文字通り、本物の男阪シンデレラ・ストーリーがストレートに展開していく。そりゃ、まあこれが映画の基本だろうと思うし、ベタだからこそ感動できる物語であるのは事実なのだ。だが、そのあまりの当たり前さに、途中でちょっと眠くなりかけた。2時間半は長すぎた。
これはちょっと狙いすぎたのではないか?ここでのクロウ演じるジムとゼルウィガー演じるメイの関係は、「夫は家族のために戦い、妻は夫の身を案じつつも戦地に送り出し、子供達を守っている」という構図で、これって古き良きアメリカの価値観そのまんま。二人は「別れ」を口にすることも、家族のあり方について喧嘩することもほとんど無い。男は男として、女は女として、その価値観の中で生きることしかしていない。
言ってしまえば、本作は対象を極めて狭く取り、「アメリカ人のためだけの作品」を作ろうとしていたのだろう。特に冷え込んでいるアメリカの映画産業にとっては、原点とも言える本作を投入することでテコ入れを計りたかったのではないかな?アメリカで受ける訳だ。
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