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[コメント] 司祭(1994/英)

良くも悪くも力作。3.5点。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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現代におけるカソリックの様々な有り様が伺える力作だと思う。その一つ一つの問題提起の仕方も反骨精神に貫かれていて、さすが公開当時論争を巻き起こしただけのことはある、と思う。

ただストレートに個々の問題を提起しているにも関わらず、全体的にはかなり複雑。痛烈な現状批判と感動的な人間ドラマに見えても最後に感じるのは、宗教(カソリックみたいな大所帯だとことさらだが)の教義に対する解釈がいかに個人によって異なるか、という事。主人公の苦悩と同僚の苦悩は、教義にどれだけ縛られているかによって、かなり質が違うような気がする。そして登場人物それぞれのカソリックに対する信仰の持ち方の違いが、この映画を多義的なものにしている。

ただ多義的な内容を考慮したとしても、ところどころ未消化に終わってる印象も受ける。主人公が最後にどれだけ自身を受け入れたのか、そのあたりがかなり不透明なのはネラっているからかどうかわからないが、個人的にはどうも持て余しているように思える。最後の抱擁は感動的ながら、未だに解釈に悩む。結局母親に秘密を明かさないという約束を守ったことへの感謝と取ればいいのだろうか。あの女の子自体の描写も(悲惨な体験をしたとはいえ)かなり不明瞭。

ともあれ多くのことを描きたいという意気込みの伝わる力作。力が入り過ぎて柔軟さに欠けるような気もするが・・・。

(評価:★3)

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