[コメント] 理想の女〈ひと〉(2004/英=スペイン=伊=ルクセンブルク=米)
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ヘレン・ハントと言えば、幸薄い「微笑み」を演じさせたら天下一品の女優だと思うのですが、本作はなるほど幸薄い女性ではありますが、悪女の要素も含まれていて、実のところそれがうまくいっていない。
男に貢がせる事実はあったとしても、彼女からは悪女の一面が漂ってこない。悪女であることの一つの表現方法として、本作のヘレンにほとんど笑みや悲しい表情をさせなかったのかもしれないが、それはかなり難しい演出で下手うつと無表情に映り、彼女の感情が観る人に伝わってこなくなる。これは、幾ら周りの女性の目や噂で演出したところで大差はないだろう。
今回の悪女の演出は失敗だったのではないだろうか? 実際に本作のヘレンの持ち味である幸薄さをもあまり感じなかった。 『恋愛小説家』『ペイ・フォワード』で見せた(魅せた)あのなんとも言えない微笑がないのは残念。 そして、娘との関係が我々に明るみになったのを境に急にいい女(理想の女?)になっていくのだが、ちょっと性急で人間味に欠ける演出に思える。
とは言っても、終盤のフェリーで娘の代わりに登場した際に見せた貫禄は流石。娘にどのような表情(指示)をしてあのような展開になったのか、階下の2人のやり取りを演出してほしかったところだ。 ラストの飛行機落ちは小洒落た演出でしたね。
ところで、冒頭で娘が開いたロケットの写真が、擦れているものの紛れもなくヘレン・ハントだと思ったのは私だけでしょうか? 私はヘレンファンなのでロケットの写真はヘレン・ハントと相場が決まっているんですよね(←『キャスト・アウェイ』より)。 そのときから、ある程度の展開は読めていました。そう言う意味でも物足りない作品だった。
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