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[コメント] 空中庭園(2005/日)

整然と区画された無機質なベッドタウン(センター北辺りですね)と、様々な思念が渦巻く有機体。同じマンションに長い間住んでても言葉はおろか顔さえ知らない住人達もいる。壁を隔てたった数メートル隣ではこちらが知る由も無いドラマがある。たぶん本作の人々はその一例に過ぎない。冷え冷えと聳え立つマンション群。その景観美。
クワドラAS

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作は知らないが、個人的にラストの解釈はどうも曖昧になってしまう。自分の誕生日を覚えていてくれただけでああも前向きに変われるものかと。それまでバラバラだった(そうにしかこちらに見せていなかった)旦那・娘・息子の3人が帰宅バスの中で交わした会話の団結性。どうも唐突でしっくりこない。ラストカットの寂しさを見ても、あの誕生日プレゼントにおけるシーケンスは主人公の幻想だったのではないか。母親が言ってたように、記憶をいいようにすり替えて。いや、この展開であれば明るい方向での幕切れのほうがいいのは確かなんだが。どうも状況は変わってないような気がするんだが・・・。まあ、そう簡単にはいかないのが実情だし、家族って色んな「我慢」で成り立ってるんだし。その「我慢」の部分を一番多く引き受けている母親のリアルを淡々と描き、ラストは血の雨でほんのちょっぴりリセットさせてあげたんではと思う。

まあでもキョンキョンの絶妙なやつれ具合と感情の二面性は実にリアルな主婦像だったと思う。

(評価:★4)

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